本書は2009年に単行本で発刊されたものを2015年に文庫化。
海軍上等兵土田喜代一氏の話を記録家の久山忍氏が聞き取って書かれています。
近所のブックオフの文庫棚で発見し「ペリリュー」の文字だけで判断して購入。
前半は昭和19年11月までのペリリュー島の戦い。しかし後半は米軍占領後も洞窟にこもり、昭和22年5月に帰国するまでの話し!
この2年6ヵ月の苦難の話、これが面白い。
発見されたら「死」が待っている訳だが読み進むとその中で次第に「生活」が成り立っていく。
占領した米軍の戦闘部隊が去り、終戦後は基地の保安要員だけになる中で生存者たちは「演芸大会」なんかもやっていたりする。
悲惨な戦いの結果の洞窟生活に最初は驚きと共に終盤はちょっと笑えるように…
同じ光人社NF文庫に「ペリリュー島の戦い」という特A級の名著があり、同じイメージで読むとちょっとがっかりするが、本書の後半の洞窟生活は非常に興味深く面白い。
読み終わって同じ久山忍氏の他の本も読んでみたいと思いました。
よって評価は「特A」「A」「B」「C」の中の「A」
単行本が11年前、文庫は5年前に出版され、もう新品は本屋に並んでいないと思いますが、古本をネットで送料がかかっても買って読むべし。
自分もNF文庫はコンプしてますが、前は柴五郎の伝記など分厚いのが結構多かったです。
半分近く積読状態・・・。